フリーランス(個人事業主)の業務委託契約書のチェックポイント〜トラブルを未然に防ごう〜【2023.11.15 勉強会まとめ】

フリーランス(個人事業主)の業務委託契約書のチェックポイント〜トラブルを未然に防ごう〜
目次

当日の録画動画と資料

動画時間:1時間55分01秒

00:05 講師自己紹介

06:50 フリーランスのトラブルの現状

12:29 契約書がない未来とある未来

26:28 契約書って何?

35:48 業務委託契約書について知ろう!

1:05:05 ひな形から契約書を作るポイント

1:38:22 皆様からのご質問

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  • 著作権は湯地麻紀子さんが有します。本資料はお手元で閲覧する用途のみとし、ダウンロードや配布はご遠慮ください。

下記に重要と思われるポイントを抜粋してまとめましたが、ぜひ、一度は動画をご覧くださいね。

契約書がある未来とない未来〜フリーラスのトラブルの現状〜

フリーランス実態調査結果(令和2年5月)によると、下記のような実態があるとのことです。

  • フリーランスの4割近くが取引先とのトラブル経験がある
  • トラブル内容の多くは「報酬」について
  • トラブルに遭遇した方の6割以上がしっかりと書面を作成していなかった

トラブルの最終的な解決手段として裁判がありますが、裁判になると「経済的負担」「時間的負担」「精神的負担」と、さまざまな負担がのしかかってきます。

しかし、契約書を締結しておくことで、下記のようなメリットがあります。

  • トラブルを未然に防ぐ
  • 信頼関係を保つ
  • 裁判の証拠となる

ただ、取引先から契約書を渡されたからといって、安心して言われるがまま締結してしまうのはリスクがあります。なぜなら、自分に不利となる内容があるかもしれないからです。

その場合、契約書の修正をお願いすることは非常識なことではありません。

また、契約書は、業務を委託する側が作成しなければいけないわけではなく、業務を発注する側・受ける側、どちらが作成しても問題ありません。なので、契約書の話が出ない場合は、こちらから提案しましょう。

こちらから提案することは、交渉面で主導権を握れたり、信頼度が高まったりといったメリットがあります。

そもそも契約書っていったいなんだろう?

約束と契約の違い

約束と契約は、どちらも「何らかの行為を行う意思があってそれを果たすためのものである」ことは共通点ですが、下記の異なる点があります。

  • 約束はあくまで任意で法的な拘束力はない
  • 契約はそれを果たすことが法律上の義務であり、法的な拘束がある

契約は、原則、自由に締結していいことにはなっていますが、法的なルールが定められている場合があり、それに則っていない契約は、無効となったり、取り消しの原因となったりします。

契約を締結すると、債権・債務が発生して、契約で定めた内容に拘束されます。契約を守らないと、義務履行を裁判所をとおして強制されたり、場合によっては損害賠償請求となることもあります。

約束には法的なルールはなく、当事者同士が自由に内容を決定して交わしていいものです。

契約書を作成する理由

契約書は、契約内容を書面にしたものです。

口約束でも契約となりますが、人間は忘れる生き物です。そこから「言った・言わない」が始まり、トラブルが発生して裁判となる可能性があります。

よって、契約書の作成が重要なのです。契約書があってもトラブルが一切ないわけではありませんが、契約書があることで裁判での戦いが有利になる可能性があります。

契約書を作成する際には、曖昧さのない契約・法律に則ったであることが大切です。
曖昧さのない契約というのは、「言葉の定義が明確である」「資源や条件などが数字などでしっかり定められていること」=「読む人によって意味が変わらないこと」です。

業務委託契約書について知ろう!

業務委託契約とは

民法上の契約は13種類あり、よく聞く契約は売買契約や賃貸借契約などです。業務委託契約は、実はこの13種類に含まれておらず、法律に定義された言葉ではありません。

業務委託契約とは、委託者が受託者に対して、何らかの業務を委託する契約で、雇用契約ではないものです。そして、その内容によって、「請負」「委任(準委任)」に該当し、請負契約・委任契約が民法上の13種類の契約に含まれています。

  • 請負契約型
    当事者の一方がある仕事を「完成すること」(期日までに成果物を納品する)を約束し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約束することによって成立する契約。成果物の内容を明確にすることが重要。
  • 準委任契約型
    当事者の一方が「事実行為をすること」を相手方に委託し、相手型がこれを承諾することによって成立し、効力を生ずる契約。成果物の納品は不要。

委任契約と準委任契約の違いは、当事者の一方が「法律行為をすること」と「事実行為をすること」です。この勉強会時点で、法律行為を行う方はいらっしゃらないことと、法律行為を行う方はこの勉強会の内容を十分把握されてらっしゃるので対象とする必要性がないことから、これ以降は委任契約には触れません。

フリーランス新法について

フリーランス新法は、正式名称が「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)で、2023年4月28日に可決成立し、5月12日に公布されたものです。法は、公布の日から起算して1年6か月を超えない範囲内において政令で定める日に施行することとされています。現時点での施行日は、まだ発表されていません。

フリーランス新法は、フリーランスの働き方を保護するために制定された法律です。対象は「企業→フリーランス」だけでなく、フリーランス同士も対象となります。

そのポイントは4つ。

  • 書面の明示
    フリーランスに業務を委託する場合、直ちに委託する際の条件を書面やメールなどで明示することが義務となった。明示すべきことは、「業務内容」「報酬額」「支払い時期」「中途解除について」など。今後、さらに具体的な事項を定めるとしている。
  • 報酬の支払い期日
    フリーランスへの報酬は、原則としてサービスを受けたり、成果物を受け取ったりしてから60日以内に支払わなければならない。(60日以内とされているが、できるだけ短い期間を推奨)
  • 不当な取り扱いの禁止
    依頼主とフリーランスの上下関係に基づく次の行為が禁止されている。「フリーランスに責任がないのに受領を拒否・報酬を減額・返品」「相場に比べて著しく低い報酬額を不当に設定」「理由なく特定の物の購入やサービスの利用を強要」など。
  • 働きやすい環境の整備
    依頼主は、「ハラスメント」「出産・育児」「介護」に注意しつつ、フリーランスが働きやすい環境を整備しなければならない。

フリーランス新法に違反した依頼主は、行政指導や改善命令の対象になります。また、50万円以下の罰金に処される場合も。新法の施行までに、違反とならないような契約書などの準備を整えましょう。

また、実際に委託するときにも、新法違反となる内容となっていないか…例えば、実質的には「労働者派遣」(依頼主が業務を直接指示する)であるにもかかわらず、「請負契約」や「業務委託契約」に偽装するような契約になっていないかという点にも注意しましょう。

委託される側としても、フリーランス新法違反となる業務委託契約となっていないかを確認しましょう。その上で、さらに下記の点について、誰が見ても明確な解釈となるよう(数値化など)な契約・受託者に不利ではない契約になっているかも確認しましょう。

  • 業務内容と範囲
  • お金のこと
  • 納品期限
  • 契約不適合責任(あらかじめ目的物に対して取り決めた種類・品質・数量に関して適合しない場合に受託者で負担する責任→この項目から損害賠償請求などにつながる)
  • 有効期限(必ず終わりが来る定めとなっているか)と中途解約(ちゃんと中途解約ができるか)

フリーランス新法の詳細はこちら(厚生労働省「フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ」)

下請法と著作権法における注意点

下請法(下請代金支払遅延等防止法)は,親事業者による下請事業者に対する優越的地位の濫用行為を取り締まるために制定された法律です。

フリーランスにとって、下請法の対象となる取引は、親事業者の資本金が1,000万円を超え、情報成果物作成・役務提供委託を行う場合などです。

この場合、親事業者は、発注に際して下記の具体的記載事項をすべて記載している書面(3条書面)を直ちに下請事業者に交付する義務があり、給付の内容・下請代金の額等について記載した書類(5条書類)を作成し2年間保存する義務があります。

下請法の詳細はこちら(公正取引委員会「下請法とは」)

著作権とは、著作物を創作した人(著作者)に与えられる「著作物を無断で利用されない権利」のことです。著作権は、著作物を創作した時点で自動的に発生し、この権利を守るために手続き等は不要です。

なので、契約書で著作権について定めていない場合、原則どおり、著作権は著作者にあります。

著作物と認められるためには、創作性が必要とされますが、一般的になんらかの個性が表現されていれば、創作性として認められます。

著作権法の詳細はこちら(文化庁「著作権」)

業務委託契約書のテンプレートをカスタマイズするコツ

テンプレートを選ぶ際のポイント

改正民法後のひな形か?

2020年に民法が大きく改正されています。なので、2020年以降に作成されたひな形を選ぶことがポイントです。その区別は用いられている用語が参考になります。

旧民法で用いられていた「瑕疵担保責任」は、「契約不適合責任」に変わっている。

探し出したひな形に「瑕疵担保責任」と書かれているものは避けましょう。

請負型か準委任型か?

  • 請負型
    成果物を完成させて納品することを目的とする業務委託契約のため、条項の中に「権利の帰属」や「知的財産権」、「検収」や「再委託」が盛り込まれているものが請負型のひな形としてよい。
  • 準委任型
    「善管注意義務」という条項があるひな形を選ぶのが良い。(準)委任契約は、当事者間がその信頼を基礎とする契約という性質がある。「報酬の有無を問わず、受任者が善良なる管理者の注意(善管注意義務)を持って委任契約を処理しましょう」というのが民法で定められているため、この情報が入っていることで準委任契約の成立を証明しやすい。また、報酬についてもしっかり盛り込む意識が必要。

契約書のタイトルは内容に影響する?

タイトルは、特に法律上の決まりはなく、たとえ内容とズレたタイトルでも影響はありません。ですが、中身を端的に表すもののため、内容と一致していることが望ましいです。

例えば、コンサルティング業務の場合、「コンサルティング業務委託契約」など。

悩んだ場合は、無理に捻ったり、こったりせず、「業務委託契約書」のみで問題ありません。

日付は必ず記入しよう

契約書内の大切な日付は、下記の二つです。

  • 作成日
    契約書がいつ作成されたかがわかる。
  • 効力発生日
    いつから契約書の内容の効力が発生するかが明確になる。

署名と記名の違いについて

  • 署名
    本人が自筆で指名を手書きすること。パソコン等で記入した文字は署名とはみなされない。
  • 記名
    署名以外の方法。ゴム印・印刷・他人による代筆・パソコン等での記入。

契約書において、効力が発生するのは署名です。記名のみでは法的効果を認めることはできないとされています。記名の場合は、押印があることによって、法的効果が認められます。

電子契約システムを利用した電子契約の場合、秘密鍵を利用し、偽造を防止しているため、署名は不要です。

リバーシブル型契約書は作成できる?

リバーシブル契約書とは、自分が委託者の立場でも、受託者の立場でも利用できる契約書です。

リーガルチェックの際にリバーシブル契約書として利用できる契約書の作成を依頼される場合がありますが、立場が異なれば、その立場の利益を第一に考えて作成するため、積極的におすすめしていません。

印紙が必要な契約書

印紙税法の別表第一に記載されている文書(20種類ある)に該当すると印紙税が課される可能性があります。

今回の勉強会の対象となりそうな文書としては、「請負契約書」「継続的取引の基本となる契約書」が主な対象となるでしょう。具体的な分類は、国税庁の印紙税額の一覧表をご覧ください。

印紙税法の別表第一はこちら
印紙税額の一覧表はこちら

印紙税は、課税文書(紙の文書)に対して課税されるため、”紙”で契約書を作成していない電子契約は非課税(印紙は不要)です。

ここだけは押さえたいカスタマイズのポイント

フリーランス新法をベースにチェックしましょう。

  • 報酬の支払い期日
    原則として60日以内、かつ、できる限り短い期間での支払いとする。
  • 業務内容・報酬額・支払い方法
    それぞれ明確に定めているか。
  • 取り扱い内容
    受託者にとって不利な取り扱いになっていないか。
  • 環境整備
    ハラスメントの防止措置などを可能な範囲で盛り込まれているかというところを意識したい。

特典

この勉強会の特典として、行政書士 湯地麻紀子さんにリーガルチェックいただいたGranviで使用している下記2点の契約書を参考資料としてダウンロードいただけます。

この契約書は、あくまで参考資料であり、ダウンロードいただいた方の契約内容を保証しているものではありません。これをもとに作成された契約書でトラブルが発生した場合でも、一切の責任を負いかねます。カスタマイズした契約書は専門家によるリーガルチェックを受けられることをおすすめいたします。

ダウロードは、下記のそれぞれのリンクをクリックしてください。(クリックされた場合、上記を承諾したものとみなします)

リーガルチェックをしてもらおう

ひな形をカスタマイズした際に、自分では気づかないズレや矛盾が往々にしてあるとのことです。これらを取り除くためにも、一度はリーガルチェックを利用されることをおすすめします。

講師:湯地麻紀子さんプロフィール

女性フリーランスさん、起業初心者さんがトラブルなくビジネスをスタートできるよう、法務の面からのサポートを行う。

大学卒業後、出版社での法律ビジネス書等の30冊以上の書籍編集を経て、配偶者の転勤に伴い退職。出産、育児と同時進行で法律の勉強や国家資格(行政書士)取得後、世田谷区にてレディバード行政書士事務所を開設。子育て終了後のママさんを中心とした女性が、起業で再び社会で活躍することをサポートしたいとの思いから、起業する人のための行政書士として活動を開始。

契約書を作成していないことでトラブルを経験された女性フリーランスさんが多数いらっしゃることを目の当たりにし、業務委託契約書などの契約書や規約の作成・リーガルチェック業に力を入れる。

現在は、X(twitter)やInstagram等のSNSを中心として契約書の大切さをわかりやすく配信しており、多数のご相談をお寄せいただく。

法政大学 法学部政治学科 卒
申請取次行政書士
東京商工会議所会員

湯地麻紀子先生
湯地 麻紀子(ゆじ まきこ)先生
女性フリーランスのためのトラブル回避&法務サポーター
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この記事を書いた人

半沢 まり子のアバター 半沢 まり子 Web集客の仕組みづくりサポーター

専門知識でお客様のお悩みを解決している起業女性に向けて、Web集客の仕組みづくりから運用・解析まで、ノウハウ提供だけで終わらない”二人三脚の伴走サポート“を提供しています。

コーチングスキルによるヒアリング力・言語化力と、10年以上のユーザーサポート経験によるIT力・整え力を掛け合わせ、専門性と安心感で支える”右腕的存在”として、事業の成長を後押しします。

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